離隔距離の本質は温度管理|木材は100℃前後から炭化が始まる
薪ストーブの設置において、離隔距離について様々な情報が飛び交っています。
以前当店では、日本暖炉ストーブ協会(JHSA)の資料などを参考に、
「遮熱板による離隔距離の短縮は1/2まで」
という考え方を紹介していました。
その後、欧州や北米の資料を調査する中で、離隔距離に関する考え方は国によって大きく異なることが分かってきました。
今回は規格の話だけではなく、
「なぜ離隔距離が必要なのか」
という根本的な部分について整理したいと思います。
離隔距離の目的とは
離隔距離の目的は、
壁や床を燃やさないこと
です。
離隔距離は目的ではなく手段です。
本当に守りたいのは、
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木材
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柱
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間柱
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合板
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床下地
などの可燃物です。
木材は何度で危険になるのか
多くの方は
木は300℃くらいで燃える
と思われています。
確かに瞬間的な発火温度はその程度です。
しかし薪ストーブの設置で問題になるのは、
低温炭化(熱分解)
です。
炭化は100℃前後から始まる
木材は長期間加熱されることで徐々に性質が変化します。
おおよその目安として
| 木材温度 | 状態 |
|---|---|
| 60℃以下 | ほぼ問題なし |
| 80℃前後 | 長期的な影響に注意 |
| 100℃前後 | 劣化が始まる可能性 |
| 120℃以上 | 低温炭化の懸念 |
| 150℃以上 | 危険領域 |
と考えられます。
煙突火災の調査報告などでは、
長年にわたって100~150℃程度で加熱された木材が炭化し、
最終的に発火した事例もあります。
「室温+65℃」という考え方
海外の試験規格では
室温+65℃
という基準が用いられることがあります。
しかしこれは
木材が85℃までなら安全
という意味ではありません。
試験室ごとの温度差をなくすために、
温度上昇量(ΔT)で評価しているだけです。
例えば
-
室温20℃ → 壁面85℃
-
室温0℃ → 壁面65℃
であれば、
当然65℃の方が安全です。
実際に重要なのは、
木材そのものの絶対温度
です。
欧州の考え方
今回調査したフランスのTEN社では、
煙突の離隔距離を
3D → 1.5D
に短縮できる壁面保護システムを販売しています。
例えば150mm煙突なら
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通常:450mm
-
TEN使用:225mm
となります。
これは50%短縮です。
北米の考え方
アメリカやカナダでは、
壁面遮熱システムによってさらに大きな短縮を行う例もあります。
ただし、
これは
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未認証ストーブ
-
特定条件の遮熱システム
に適用されるケースが多く、
現代の認証済みストーブでは
メーカー指定離隔距離
が優先されます。
単純に
「遮熱板を付ければ1/3まで短縮できる」
という話ではありません。
本当に重要なのは温度
私たちは規格の数字ばかりに注目しがちです。
しかし本質は、
450mmなのか225mmなのかではなく、
壁の木材温度が何度になるのか
です。
例えば
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離隔450mm
-
木材温度55℃
-
離隔225mm
-
木材温度55℃
なら、
木材の安全性はほぼ同じです。
逆に
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離隔450mm
-
木材温度110℃
であれば、
距離が長くても安心とは言えません。
実際に温度を測ってみることをおすすめします
私は最終的には、
「実際に温度を測ること」
が一番大切だと考えています。
カタログや規格だけでは分からないことも多く、
実際に測定してみると予想と違う結果になることもあります。
私は現在、Amazonで購入したデジタル温度計を使用して、
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二重断熱煙突の表面温度
-
遮熱板の表面温度
-
遮熱板の裏側にある元の壁の温度
-
炉台周辺の温度
などを測定しています。
壁の裏側が何℃になっているのか、
煙突表面が何℃になっているのかを実際に確認することで、
安全性を自分の目で判断できます。

このような温度計はAmazonで
4個セットで1,000円前後
で購入できます。
特別な知識も必要なく、
センサー部分を測りたい場所へ設置するだけです。
私自身も、
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二重煙突の表面
-
遮熱板の裏側
-
木壁の表面
などに設置して温度を確認しています。
離隔距離だけを信じるのではなく、
「実際に何℃になっているのか」
を確認することが、
薪ストーブを安全に使用するうえで非常に有効だと思います。
今後の山のえんとつ屋の考え方
当店では今後、
単なる離隔距離だけではなく、
実際の木材温度
に注目した検証を進めたいと考えています。
例えば
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壁面遮熱板
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ケイカル板
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空気層
-
断熱材
-
炉台構造
によって、
壁裏や床下地の温度がどのように変化するのかを実測し、
可能な限りデータとして公開していきたいと思います。
まとめ
離隔距離は重要です。
しかし離隔距離はあくまで手段であり、
本当に守るべきものは建物の可燃部分です。
そのためには、
規格の数字だけを見るのではなく、
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木材が何度になっているのか
-
長期間の加熱で炭化しないのか
-
実際に安全が確保されているのか
を考える必要があります。
「壁から何cm離れているか」だけではなく、
「木材が何℃になっているか」
という視点も持ちながら、安全な薪ストーブ設置を考えていきたいと思います。