— 針葉樹と広葉樹の違い、そして実際の薪の使い方 —
薪ストーブの世界では昔から 「薪は広葉樹が良く、針葉樹はダメ」 と言われることがあります。
しかし実際には、針葉樹が使えない薪というわけではありません。 この話には木の性質や燃え方の違い、そして薪文化の影響が関係しています。
まずは針葉樹と広葉樹の違いを整理してみます。
針葉樹の特徴
代表的な針葉樹
- 杉
- ヒノキ
- 松
- カラマツ
利点
乾燥が早い
針葉樹は密度が低く水分が抜けやすいため、 1年ほど乾燥させれば使えることが多いという利点があります。
広葉樹の場合は太さや地域にもよりますが 2年程度乾燥が必要になることも珍しくありません。
薪作りではこれは大きなメリットです。
火付きが良い
針葉樹は
- 樹脂(ヤニ)が多い
- 密度が低い
ため着火しやすく、焚き付け材として非常に優秀です。
火力が強い
燃え始めると炎が大きくなりやすく、 ストーブの温度を上げるのが得意です。
欠点
火持ちが短い
針葉樹は密度が低いため燃焼が速く、 長時間燃焼にはあまり向きません。
燃焼が荒くなりやすい
一度に多く入れると炎が大きくなりすぎて ストーブ温度が急上昇することがあります。
ヤニが多い
樹脂が多いため煙やタール(クレオソート)が出やすいと言われます。 ただしこれは
- 乾燥不足
- くすぶり燃焼
のときに起きやすい現象です。
広葉樹の特徴
代表的な広葉樹
- ナラ
- クヌギ
- カシ
- ケヤキ
- サクラ
利点
火持ちが良い
広葉樹は密度が高いため燃焼がゆっくりで、 長時間暖房に向いています。
燃焼が安定する
炎が比較的穏やかで、 ストーブの温度管理がしやすい特徴があります。
熾き火が長く残る
炭が残りやすく、 夜間の暖房に向いています。
欠点
乾燥に時間がかかる
広葉樹は密度が高いため乾燥が遅く
- 1.5〜2年
- 太い薪では3年
ほど必要になることもあります。
火付きがやや悪い
密度が高いため、 焚き付け材が必要になります。
発熱量は実はほぼ同じ
よく「広葉樹の方が熱量が高い」と言われますが、 乾燥した木材の重量あたりの発熱量はほぼ同じです。
木材の発熱量はおよそ 約19MJ/kg で大きな差はありません。
違いは密度(重さ)です。
つまり同じ体積なら 広葉樹の方が重く、エネルギー量が多い ということになります。
松はどうか
針葉樹の中でも誤解が多いのが松です。
松は樹脂が多いため煙突を詰まらせると言われることがありますが、 乾燥していて高温で燃えている状態では大きな問題になることはほとんどありません。
むしろ
- 火付きが非常に良い
- 火力が強い
という特徴があり、焚き付け材として優秀です。
陶芸の登り窯では松が主燃料として使われています。
また日本では松くい虫で枯れた松が薪として使われることもあります。
竹は燃やせるのか
竹も燃やすことは可能ですが、薪としては少しクセがあります。
- 爆ぜやすい
- 一気に燃える
丸竹のまま燃やすと破裂することがあるため
- 縦に割る
- 少量にする
のが安全です。
焚き付けとして使う程度なら問題ありません。
燃やしてはいけない木
自然木の多くは薪として燃やすことができますが、 注意が必要な樹種もあります。
特に避けた方がよいのは ウルシ科の木です。
- ハゼノキ
- ウルシ
- ヤマウルシ
これらはかぶれ成分を含んでおり、 燃やした煙でも皮膚炎や呼吸器刺激を起こす可能性があります。
針葉樹のもう一つの使い方(建築端材)
針葉樹の薪は、建築用木材の端材として入手できることもあります。
例えばツーバイフォー住宅の工場では SPF材(スプルース・パイン・ファー)の端材が大量に出ます。
こうした端材を燃料として利用している人もいます。
例えば筆者の場合、ツーバイフォー工場の端材を キロ10円ほどで購入して薪として使っています。
この価格であれば灯油よりもかなり安く、 暖房費を大きく抑えることができます。
ただし欠点もあります。
SPF材は針葉樹で密度が低いため 燃焼時間は1回の投入で1時間程度 と比較的短く、 広葉樹薪の半分程度で追加投入が必要になります。
そのため
- 短時間で火力を出す
- こまめに薪を足す
という使い方になります。
まとめ
「針葉樹は薪ストーブで使ってはいけない」というのは 完全に正しいわけではありません。
針葉樹は
- 乾燥が早い(1年程度)
- 火付きが良い
- 火力が強い
という利点があります。
広葉樹は
- 火持ちが良い
- 燃焼が安定する
という特徴があります。
薪ストーブで重要なのは 樹種よりも乾燥と燃やし方です。
しっかり乾燥した薪を使えば、 針葉樹も広葉樹も十分に良い燃料になります。