薪ストーブ煙突の世界基準 日本・北米・ヨーロッパの煙突構造の違い
- 世界の煙突は主に4種類(トリプルウォール・ツイストロック・ソケット・ハゼ折)
- ヨーロッパではソケット接続の断熱煙突が主流
- ソケットは角度調整がしやすく熱膨張にも強い
- ツイストロックは施工が速いが自由度が少ない
- 三重煙突は外側温度が低いがドラフトが弱くなることがある
- 煙突は薪ストーブの燃焼性能を大きく左右する装置
薪ストーブはストーブ本体よりも 煙突の設計で性能が大きく変わる と言われています。
薪ストーブの煙突は世界中で似ているように見えますが、 実は国や地域によって構造や考え方が大きく違います。
主に次の4つのタイプがあります。
- オーストラリア:三重煙突(トリプルウォール)
- 北米:ツイストロック煙突
- ヨーロッパ:ソケット接続の断熱二重煙突
- 日本:ハゼ折煙突
これらは住宅構造や暖房文化の違いによって発展してきました。
オーストラリア:三重煙突(トリプルウォール)
オーストラリアでは三重煙突(トリプルウォール)が多く使われています。
- 内筒
- 空気層
- 外筒
という3層構造です。
断熱材ではなく空気層で外側温度を下げる設計です。
メリット
- 外側温度が低い
- 屋根貫通の安全性が高い
デメリット
空気冷却構造のため煙突内部温度が下がりやすく、 ドラフト(上昇気流)が弱くなる傾向があります。
北米:ツイストロック煙突
北米ではツイストロック接続の煙突が多く使われています。
差し込んで回すことで固定する構造です。
メリット
- 工具なしで接続できる
- 施工が速い
- DIY施工に向いている
デメリット
- 角度調整が難しい
- 接続部分の自由度が少ない
- 熱膨張の逃げが少ない
ヨーロッパ:ソケット接続の断熱二重煙突
ヨーロッパではソケット接続(差し込み式)の煙突が主流です。
スパイゴット(オス)をソケット(メス)に差し込む構造です。
メリット
- 構造がシンプル
- 熱膨張に強い
- 角度調整がしやすい
- 耐久性が高い
差し込み構造のため 煙突の角度調整がしやすい という特徴があります。
また煙突は温度変化で伸び縮みします。
そのためヨーロッパでは 一重煙突部分を完全に固定せず 少し浮かせて設置 することがあります。
山のえんとつ屋の煙突も このヨーロッパで主流のソケット接続構造です。
ソケット接続とツイストロックはどちらが折れにくいのか
ソケット接続は接触面積が広く、 わずかな動きを吸収できるため
- 熱膨張
- 強風
- 建物の揺れ
などの力を逃がしやすい構造です。
そのため接続部に力が集中しにくく、 折れや変形が起きにくい と言われています。
煙突に入った水はどうなるのか
煙突について「水が入ると危険」という説明を見かけることがあります。
しかし実際の煙突では排水構造が考えられています。
ヨーロッパでは煙突の下部に T管 を設置することが一般的です。
- 煤
- 結露水
- 雨水
などがここに集まり排出できます。
断熱材が濡れると危険という説明について
日本では
- 断熱材が濡れると危険
- 一度濡れたら使えない
という説明を見かけます。
しかしこれは安全性を強調するための やや誇張された説明 である場合もあります。
業界ではセールストークとして語られることもあります。
日本:ハゼ折煙突
日本ではハゼ折煙突が広く使われています。
素材
- 430ステンレス
- 薄板ステンレス
430ステンレスは磁石が付くステンレスで、 304や316より耐腐食性は低い素材です。
欠点
- 接合部が弱点になりやすい
- 熱膨張で変形することがある
- 腐食が進むと破れやすい
なぜヨーロッパの煙突は316ステンレスを使うのか
- 外筒:304ステンレス
- 内筒:316ステンレス
薪ストーブの排気には タールや有機酸が含まれ、 煙突内部は酸性環境になることがあります。
316ステンレスは耐腐食性が高く、 この環境に強い素材です。
煙突は単なる排気管ではない
ヨーロッパでは
「煙突はストーブのエンジンである」
と言われることがあります。
煙突の上昇気流によって空気がストーブに入り、 燃焼が成立します。
つまり煙突は 薪ストーブの燃焼を作る装置なのです。
まとめ
煙突は単なる排気管ではなく、 薪ストーブの燃焼性能を左右する重要な設備です。
薪ストーブはストーブ本体よりも 煙突の設計で性能が大きく変わると言われています。
煙突設計で迷ったら煙突ビルダーをご利用ください
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薪ストーブの煙突設計で迷った場合は、 ぜひ煙突ビルダーを利用して設計してみてください。