一重煙突が危険と言われる理由
タール・クレオソート・木酢液・煤の違いと煙突火災
薪ストーブの設置を調べていると、「一重煙突は危険」という話をよく聞きます。
しかし実際には、
- なぜ危険なのか
- 煙突の中で何が起きているのか
まで説明されていることはあまり多くありません。
薪ストーブはストーブ本体よりも、煙突の設計で性能と安全性が大きく変わると言われています。
この記事では、
- 一重煙突が危険と言われる理由
- 煙突に付着する物質の違い
- 煙突火災とは何か
- 煙突掃除の方法
を分かりやすく解説します。
煙突火災と煙道火災の違い
煙突火災と煙道火災は、基本的には同じ現象を指します。
煙突や煙道の内部に溜まった、
- タール
- クレオソート
に火が付き、煙突内部で火災が起きる現象です。
英語では Chimney fire と呼ばれます。
煙突火災の温度
煙突火災が起きると、煙突内部の温度は800〜1000℃に達することがあります。
これは通常の薪ストーブ運転よりはるかに高い温度です。
この状態になると、
- 煙突の破損
- 屋根への延焼
- 住宅火災
につながる危険があります。
煤・木酢液・タール・クレオソートの違い
薪を燃やすと煙突の内部には、主に次のような物質が発生します。
- 煤(すす)
- 木酢液
- タール
- クレオソート
それぞれ性質が異なります。
煤(すす)
正体
煤は炭素の微粒子です。煙突の中では黒い粉として付着します。
発生原因
- 着火直後
- 空気不足
- 不完全燃焼
着火のしやすさ
煤はほぼ炭素なので、燃えにくく、煙突火災の原因になりにくいとされています。
そのため、煤だけが付着している場合は、煙突火災が起きても急激に温度が上がりにくいと考えられます。
掃除方法
煤は粉状なので、煙突ブラシで比較的簡単に落とせます。
木酢液
正体
煙に含まれる成分が煙突内で冷えて液体になったものです。炭焼きで採取される木酢液と同じ成分です。
発生原因
- 煙突が冷たい
- 湿った薪
- 低温燃焼
着火のしやすさ
基本的には燃えにくい液体です。
ただし、放置するとタールへ変化していくことがあります。
タール
正体
煙に含まれる可燃性ガスが、煙突内で冷えて固まったものです。黒く粘着質で、ベタベタしています。
発生原因
- 煙突が冷たい
- 一重煙突
- 湿った薪
- 低温燃焼
煙が冷えるほど発生しやすくなります。
着火のしやすさ
タールは非常に燃えやすい物質で、煙突火災の主な原因になります。
掃除方法
タールの状態であれば、回転ブラシ(電動ブラシ)で落とせることも多いです。
ただし、長期間放置するとクレオソートに変化し、非常に硬くなって掃除が難しくなります。
クレオソート
正体
タールがさらに固化したものです。煙突内部でガラス状の硬い物質になります。
発生原因
タールが長期間蓄積した場合です。
着火のしやすさ
クレオソートは非常に燃えやすい物質で、煙突火災の大きな原因になります。
掃除方法
ここまで硬くなると、通常のブラシだけでは落ちにくくなります。状態によっては専用工具や専門的な清掃が必要になります。
一重煙突で危険が高くなる理由
一重煙突は断熱材がありません。
そのため煙の熱が外へ逃げやすく、煙が急激に冷えてしまいます。
煙が冷えると、
- 木酢液
- タール
- クレオソート
が発生しやすくなります。
これが、一重煙突が危険と言われる大きな理由です。
煙突火災のとき一重煙突はどうなるか
煙突火災が起きた場合、煙突内部は800〜1000℃になります。
一重煙突の場合、煙突表面も500℃以上になることがあります。
木材の発火温度はおよそ250℃と言われています。
そのため煙突の近くに木材がある場合、発火する危険があります。
断熱二重煙突の安全試験
断熱二重煙突には、ヨーロッパ規格EN1856-1という安全試験があります。
この試験では、煙突内部を約1000℃にする煙道火災試験を行います。
そして、煙突の近くに置いた木材が発火温度に達しないかを確認します。
つまり煙突の安全性は、煙突表面温度そのものではなく、可燃物の温度上昇で評価されます。
山のえんとつ屋の煙突(離隔50mm)
山のえんとつ屋の断熱煙突は、
- EN1856-1
- T600
- G50
というヨーロッパ規格を満たしています。
このG50は、可燃物から50mm離隔という意味です。
つまり煙突火災試験でも、可燃物から5cmの距離で安全に設置できる煙突です。
昔の薪ストーブのメンテナンス
寒い地域では昔、煙突を定期的に分解して、煙突を焼いてクレオソートを除去するというメンテナンスが行われていました。
煙突を外し、外で火を入れてクレオソートを焼き切る方法です。
それほど煙突は、燃焼装置の重要な部分と考えられていました。
現代では煙突の重要性が忘れられがち
現代では薪ストーブの知識が減り、煙突を単なる排気管のように考えてしまう人も増えています。
その結果、
- 一重煙突を使う
- 煙突設計を軽視する
というケースも見られます。
しかし薪ストーブは、煙突のドラフトで燃焼する装置です。
煙突の設計は非常に重要です。
煙突設計は専門店に相談を
薪ストーブはストーブ本体よりも、煙突の設計で性能が大きく変わると言われています。
煙突の高さ、曲がり、断熱性能によってドラフトが変わるためです。
煙突設計で迷った場合は、煙突ビルダーを利用して山のえんとつ屋に診断相談することをおすすめします。
まとめ
| 種類 | 特徴 | 燃えやすさ | 掃除のしやすさ |
|---|---|---|---|
| 煤 | 黒い粉 | 燃えにくい | ブラシで落としやすい |
| 木酢液 | 茶色い液体 | 燃えにくい | 状態による |
| タール | 粘着質 | 燃えやすい | 回転ブラシで落とせることが多い |
| クレオソート | ガラス状で硬い | 非常に燃えやすい | 落としにくい |
煙突が冷えるほど、タールやクレオソートは発生しやすくなります。
そのため薪ストーブでは、煙突の断熱性能が非常に重要になります。
薪ストーブはストーブ本体よりも、煙突の設計で性能が大きく変わると言われています。
煙突設計で迷った場合は、煙突ビルダーを利用して山のえんとつ屋に診断相談することをおすすめします。