こちらの写真は築160年の木曽福島にある民家で、長野県によくある伝統的な大屋根スタイルの古民家です。
こちらの古民家の持ち主の方が是非とも移築して生かしてほしいと切望されていました。
このまま取り壊されるのはあまりにも忍びないのでどなたか使ってほしいとのことでした。
そのため解体費は元の持ち主様が負担していただけるという条件になりました。
そして遠方である兵庫県三田市まで運び、我が家として移築・再生することになりました。
私自身も過去に長野県に住み、大工をしていたことがあります。
その当時このような立派な家が取り壊されるのを何度も見てきました。
また素材を台無しにするような大規模リフォームの工事に携わった事もあり、残念だと思っていましたが何もできませんでした。
古民家を移築・再生できるという話を頂きまして非常に嬉しかったです。
とくに以前からかっこいいと思っていた長野県の大屋根の家が自分の物になると決まった時は心が弾みました!
下記の写真は解体を開始した当初の2005年3月28日の物になります。
ちなみに屋根はトタン葺きでした。
解体屋さんが建具を外しています。
トタンやアルミサッシや外装を取り外し骨組みがあらわになった状態
垂木も使えるものは全て使いました。
力強く曲がった梁が非常に美しいです。
小屋束や貫が非常に美しく天井を張って隠れてしまうのがもったいないので、水平の天井は張らず垂木のうえから無垢の野地板を張り仕上げました。
全てのものが煤けていましたが、それを磨けば綺麗な飴色になり今でも非常に美しです。
建築予定の場所が市街化調整区域という建築許可を得るのが非常に難しい地域でした。
そのため許可が下りる条件に適合させるのに時間がかかりました。
さらに市街化調整区域でのローン審査を通してくれる銀行が見つかりませんでした。
結局、解体から棟上げまで一年ほどの期間がかかりました。
その後、解体した大工に来てもらい屋根を仕上げるまでこちらで一か月ほど住み込んで作業をお願いしました。
こちらから業者に依頼をしたのは基礎工事・棟上げ・屋根の下地・瓦工事・電気の引き込み のみでした。
費用としては構造材運搬40万円、基礎工事200万円、屋根瓦工事170万円、棟上げ屋根下地工事200万円、クレーン費20万、その他支給材料として材木費50万円、屋根用発泡断熱材40万円等がかかったと思います。(あまり正確ではないかも知れません。)
平屋で床面積が186㎡もあり屋根の面積が270㎡近くあり費用もかさみました。
あとの外構工事、内装工事、木サッシ工事、電気工事、排水工事、給水工事、井戸掘り工事、ユニットバス設置工事、トイレ設置工事、キッチン設置工事、物置増築工事、ガレージ制作工事、等々はのちに少しずつ一人で行いました。
ベテランのおじいちゃん大工と若い大工の二人が主に作業をしていました。
たまに私と子供も屋根に上り、作業の様子を見せてもらいました。
2006年7月9日撮影
下の写真は2018年2月25日のものです。
今の家の状態はもう少し進化しています。
この家と6人の子供たちは私の人生そのものです。
そしていまだ完成しておりません。