薪ストーブと煙突とは関係ありませんが昔井戸を掘りました。
なぜわざわざ井戸を掘ったかという経緯からお話をいたします。
私の住む兵庫県三田市(さんだし)は山間部の全域が市街化調整区域に指定されております。
市街化調整区域は皆様ご存じでしょうか?
この市街化調整区域の話をしても以外と知らない方が多くびっくりします。
この市街化調整区域というのがくせ者で、田舎暮らしをしたいという新規参入者をほぼ完全にシャットアウトしております。
それでいて学校は100人に満たない人数のため廃校の話が出ております。
行政としては何とか少子化を食い止めたいと対策を出しておりますが、この市街化調整区域という規制が無くならない限りこの地域の人口は増えません。
この三田市(さんだし)というのは大阪駅からJRで50分程度の場所にあり便利と言えば便利です。
20年ほど前は全国一の人口増加率を誇り大阪のベットタウンとして発展しました。
もちろんニュータウンに関しては今も人口が多く廃校の話はありません。
しかし問題は市街化調整区域に指定された三田市の山間部にあります。
この市街化調整区域というものは都市部の周辺を乱開発から守るという名目で全国の都市部周辺がドーナツ状に指定されております。
規制内容としては市街化調整区域では普通の方は新規に家を建てられないという事です。
例外としては既存住宅の建て替え、農家の分家住宅、周辺の利便性向上につながる小さな店舗、公共性のある建物等です。
もちろん規制は良い面もあります。
周辺には今でも茅葺の民家がたくさんあり昔ながらの田舎の田園風景が残っているので落ち着きます。
規制が無ければ残ることもなく今風の住宅が立ち並んでいたでしょう。
ニュータウンを抜けるとこのような日本の原風景のような地域が保存されているのは非常に心が落ち着きます。
しかしその一方でこの地域に新たに移り住みたいという方には非常にハードルが高いものになっています。
まずは古屋を買いリフォームもしくは建て替えをするという選択肢しかありません。
空き家はあっても売りに出されるという家は数えるほどしかありません。
そんな状況では学校の廃校問題を解決することには全くつながりません。
またこれは別の問題ですが地域のバスの便もますます減便され住みにくくなっています。
個人的には車があるので数年に一度しかバスに乗らない生活をしているのでこの解決には別のアプローチが必要かと思います。
とにかくそのような地域なので環境は良く住み心地は最高です。
ちなみに私はもともと今の地域に住んでいたわけではなく移住者になります。
なので既存の宅地に一から古民家を移築して住み始めた変わり者です。
前置きが長くなりましたが、井戸を掘った理由は費用が高いからです!
どれほど高いかと言いますとメーターボックスまでの水道の引込工事が160万円必要になります。
さらに加入分担金として13ミリ口径なら10万円、もしくは20ミリ口径なら30万円と合計で170万円からとなります。
そこから宅内への引き込み費用は別なので更にかかります。
どうです、皆さんなら払いますか?
私は当時はもちろん払えませんでした。
今もまだ払えないので井戸を利用しています。
それらを考えると井戸を掘ろう!となったわけです。
掘削方法は最初の1mの深さまではユンボで楽々掘りました。
次は小型のブレーカーの先にスコップを取り付けて土を柔らかくして、土をバケツに入れウインチで外に出していきます。
最初はほーんとらくらくでした!
この時にバケツと一緒にウインチで私も毎回上がり、また降りていくという繰り返しです。
今見返すと何とも頼りないですが、この手製の木製の台をウインチで上下させてバケツ二杯分の土と一緒に地上にあがったり地下に降りての繰り返しでした。
地上にあがるといつも何だかホットしました。
3mほど掘り進んだあたりの地層からは水が滴れ落ちていつも水浸しでした。
そのため常にポンプで水を汲みだしていました。
掘った部分は崩れ落ちて死なないように木枠で囲いながら進んでいきました。
なんといっても生き埋めはこわいので…
それでも一日中作業すれば60センチほどは進んだでしょうか?
もっと進んだかもしれませんし、そうでなかったかもしれません。
特に大きめの石が出てくると持ち上げるのに苦労しました。
最終的には深さ6mの丸井戸を掘りました。
予定では10mほどは掘りたかったのですが結局岩盤にぶち当たり前に進みませんでした。
コンクリート削岩用のコンプレッサーにエアーホースで繋がれた現場で使う大型の削岩機で井戸の中で1日掘ってみましたが一日で15センチも進みませんでした。
非常に硬い岩で青みのある岩でした。
井戸の中で一日削岩機を使うと身も心も疲れ果て負けてしまいました。
手はじんじんしびれ耳はキンキン跳ね返る音でまいりました。
それでも足元は土の中から湧き出す水でいっぱいでポンプで水を常時くみ出さないと仕事ができないほど水浸しでした。。
最終的には掘り進めるのを諦めましたがこの岩盤の下に綺麗な水が流れていると思い頑張っていました。
その後木枠を全て外して、上からコンクリートヒューム管をユニックで吊るして入れました。
一番下のヒューム管の周りにドリルで穴をあけてそこから水が井戸の中に流れ込むようにしました。
それから砂利をヒューム管と土の間にどんどん入れてコンクリートで上部に枠を作りました。
井戸に蓋をして井戸ポンプを設置して家への蛇口を取り付けて完成です。
最終的に始めてから完成するまでに2か月はかかったいう記憶はあります。