その薪ストーブ、本当に暖かい?

その薪ストーブ、本当に暖かい?

― 燃焼効率・熱効率・体感の違いを理解していますか? ―

薪ストーブのカタログを見ると、
「効率75%」「高効率モデル」といった数字が並びます。

けれど実際には、

・効率が高いはずなのに寒い
・炎はよく燃えているのに、思ったほど暖まらない
・昔の薪ストーブの方が暖かかった気がする

こうした声は少なくありません。

その理由は、
燃焼効率・熱効率・実際の暖かさ(体感)を同じものとして考えてしまうこと
にあります。


燃焼効率とは何か

燃焼効率とは、

・薪から発生する可燃ガス
・排ガス中の未燃成分

を、どれだけ完全に燃やし切れているか、という指標です。

燃焼効率が高いと、

・煙が少ない
・黒煙が出にくい
・CO(一酸化炭素)が少ない
・タール(クレオソソート)が溜まりにくい

といったメリットがあります。

現在の薪ストーブは、

・二次燃焼
・三次燃焼
・高温燃焼室

といった構造により、
燃焼効率そのものはすでに高い水準にあります。


熱効率とは何か

一方、熱効率とは、

・薪に含まれるエネルギーのうち
・どれだけを暖房として回収できたか

という考え方です。

カタログに書かれている
「効率70〜80%」という数値は、
この**熱効率(回収率)**を示しています。

ただし、

・この数値は試験条件下のもの
・人がどう暖かく感じるかは含まれていない

という点は、あまり知られていません。


熱効率が高い=暖かいとは限らない

熱効率が高くなりやすいストーブには、次の特徴があります。

・二層構造で表面温度が上がりにくい
・排気温度を抑える設計
・空気の対流を活かした暖房方式
・室内空気を均一に暖める構造

これらは、

・排気ロスを減らす
・室温を安定させる

という点で優れています。
特に高断熱・高気密住宅では合理的です。


実際の暖かさを左右する「輻射熱」

人が「暖かい」と感じる大きな要素に、輻射熱があります。

輻射熱は、

・空気を介さず
・人、床、壁、家具を直接暖める

熱の伝わり方です。

そのため、

・室温がそれほど高くなくても
・ストーブの近くで強く暖かく感じる

ということが起こります。

古民家や断熱性能の低い住宅では、

・暖めた空気が逃げやすい
・対流だけでは体感しにくい

ため、輻射熱の強さが体感暖房の要になります。


山のえんとつ屋で扱う機種と「熱の伝わり方」

山のえんとつ屋では、住宅性能や使い方に合わせ、
輻射熱主体と対流熱主体の機種を使い分けています。

SUPRA(フランス)

Kris(輻射熱主体)
 ・正面ガラスと炉壁からの放射が強い
 ・古民家、断熱性能の低い住宅向き

Markus(輻射熱主体)
 ・本体表面温度がしっかり上がり、体感暖房に優れる
 ・人や床を直接暖めたい住宅向き

・その他 SUPRA 機種(対流熱主体)
 ・空気循環で室内全体を均一に暖める
 ・高断熱・高気密住宅向き

Cozy Fire(コージーファイヤー)

CF805 / CF125(輻射熱主体)
 ・鋼板ボディの表面温度が高く、放射熱量が大きい
 ・古民家でも体感暖かさを得やすい

CF500RS(ソープストーンモデル)
 ・輻射熱主体+蓄熱性
 ・燃焼後も穏やかに暖かさが続く

・その他 Cozy Fire 機種(対流熱主体)
 ・空気を暖める設計で、熱効率の数値が出やすい
 ・高断熱住宅、室温を均一に保ちたい方向き


二次燃焼があっても、すべてが高性能とは限りません

市販機の中には「二次燃焼付き」と表記されたものもあります。
ただし大切なのは、

・本当の意味での二次燃焼がされているのか

という点です。

・燃焼試験データが公開されていない
・CO排出量や効率の数値が不明
・ヨーロッパ規格(EN/Ecodesign)を取得していない

この場合、薪ストーブの性能を客観的に判断できません

山のえんとつ屋としては、

・燃焼性能の裏付け
・長期使用での安全性
・煙突トラブルの少なさ

を重視するため、積極的にはおすすめしていません

二次燃焼は「付いているか」ではなく、
「検証されているか」が大切です。


まとめ|数字+体感で考える薪ストーブ選び

・燃焼効率
 ・燃やし切る能力(現代機は高水準の為カタログには表記されていない)

・熱効率
 ・回収できた熱の割合(カタログの燃焼効率と表記されたものも同じ意味)

・体感の暖かさ
 ・輻射熱の影響が大きい
 ・住宅性能との相性が重要

熱効率が高い=必ずしも暖かい、ではありません。

特に古民家では、

・輻射熱をしっかり出し
・二次燃焼で燃焼を安定させた

ストーブが、数字と体感のバランスが取れた現実解になります。

山のえんとつ屋では、

・SUPRA:Kris / Markus
・Cozy Fire:CF805 / CF125 / CF500RS

といった体感暖かさを重視した機種を含め、
住まいに合った薪ストーブ選びをお手伝いしています。

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